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希望と勇気の実りを味わうムンバイ(インド)発: キリスト教では、神が人となられたことを信じています。もしキリストが現代において地上を歩んでおられたなら、貧しい人々、社会の底辺に生きる人々と共におられるでしょう。誰よりもこのことを確信しているのが、マリアの御心会のパッチー・カーンです。この会は、五つ星と称される社会福祉大学ニルマラ・ニケタンを運営しています。 マリアの御心会のシスターたちは、1969年からバンドラ郊外とカール間のスラム地区に住みこんで活動をしています。真っ先にこのスラムに入ったメンバーの一人がパッチーです。このスラムは1キロ四方の広さがあり、そこに現在も5万人もの人々が暮らしています。もともとこの地区は、「コーリーズ」と呼ばれる漁師の所有地で、土地を貸していたので、地方から大都会のムンバイに押しよせてくる人々が集まるようになりました。 パッチーは、ヒンンズー教徒、回教徒と一握りのキリスト教徒が密集して暮らすこのスラムをインドの縮図と呼んでいます。インドのような多文化、他宗教社会において、キリストの証し人となるということは、カーストや信条、宗教を超えて、スラムに生きるすべての人々に仕えることに他なりません。 「スラムの住人たちは、わたしたちが、ヒンズー教寄りでもなく、回教寄りでもなく、またキリスト教寄りでもなく、人間を人間として大切にしていることを知っています。」とパッチーは言います。1992年に起きた内紛のときに、この宗教を超えた一致がその試練に耐えました。このスラムでは、戦いは起きませんでした。 シスターたちの長年の活動は、質の高いものになっているとパッチーは言います。はじめは、食料や日用品などを配るという慈善活動からスタートしましたが、次第に、一人ひとりの能力を高め、生活力、人間としての尊厳をもって生きる力を養うという活動に変わっていきました。 まずスラムの人々との人間関係を築き、働く母親のための託児所を開きました。このセンターをきっかけにして、後に、ここで女性たちが月例集会を行うようになりました。この集会を通して、スラムで自分たちが抱えるさまざまな社会問題、たとえば、児童婚(これはグジャラティ州のヒンズー教徒の習慣で、子どもが5歳〜8歳のときに結婚式を挙げて正式に結婚させ、大人になってから一緒に住むというもの)、家庭内暴力、アルコール中毒などを解決するための運動を始めました。 スラムに住む人々に人間としての権利を意識づけることは、重要な活動となりました。たとえば、先に住みついている人々が、権利もないのに、後から来た住人から高額の土地代を取っているということを教えると、今まで土地代を支払っていた人々は、だまされていることに気づきました。このような活動をするソーシャル・ワーカーは、当然、地主などスラムで権力をもっている人たちから、反感をもたれました。 シスターたちの重要な活動は、子どもや青年の教育です。多くの子どもたちの親は教育を受けたことがありません。子どもたちへの教育を通して、人権意識を高めていくことができ、ひいては、地域のリーダーを育成していくことにもなります。 パッチーは、スラムでキリストの証し人となることは、厳しいが学ぶことが多いと思っています。騒がしくごみごみしたスラムで生活することはたやすいことではありません。夜も昼もない生活は大変です。しかし、貧しい人々、社会の底辺に生きる人々に仕えながら、イエスを証ししてきたことを光栄に思っています。 パッチーの話では、シスターたちは、ヒンズー教やキリスト教の人々の中には、ボランティアを通して人の役に立ちたいという気持ちを強くもっている人々がいることに気づきました。たとえば、自分の病院の休憩時間に、スラムの診療所で診察のボランティアをする医師などがそうです。 ボランディアの機会を提供することも、キリストの証し人としての大切な仕事です、とパッチーは言います。中流階級の人々にスラムで働く機会を与えることによって、「持つ者」 人々と共に暮らし、喜びや悲しみ、希望や苦難を共にすることは、私の生き方そのものです、とパッチーは言います。それが神にいたる道であり、貧しい人々、社会の底辺に生きる人々を無視しがちな社会に対して、キリストを証しする道なのです。 グレーシーは、パッチーとともに、最初にスラムで活動を始めたマリアの御心会の会員です。「私は人々の苦しみを見た。そこでお前をかれらのもとに遣わす。」という聖書の言葉に心を動かされ、カール・ダンダ(スラム)の人々に関わることの意味を与えられたと言います。 「私はカール・ダンダの人々の生活と苦悩、喜びと祭り事に親しみを感じました。」とグレーシーは言います。「貧しい人々が直面している困難な生活状況の中で、自分の修道者としての社会的意義を見出そうとしていました。」これまで自分たちがもっていた知識に方向性を与えることにより、スラムの人々は自分たちの生活や生活環境を変えようとし始めました。「今では、彼らは、自分たちの希望と勇気の実りを味わっています。」 マグダレンは、現在スラムの中にあるマリアの御心会の院長です。マグダレンは、スラムで過ごす時間は、特別にすばらしいときだと感じています。「そこでは、あらゆる種類の人々、周囲に住むスラムの貧しい人々、特に女性と出会うことができます。かれらは、不安定で困難な生活を送っており、自力で家族を養っているケースも多く、すごいと思います。どこからそんな力が出せるのか、不思議に思うことがあります。これまで、スラムで多くのことを学んできました。 「貧しい人々との出会いによって、自分も成長し、かれらの力になりたいという気持ちが強くなりました。」とマグダレンは言います。 (ゴメス) | |||||||||||
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