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ダン・バウ独奏:「Long Me(母の心)」


昨日ダン・バウを演奏してきました。

午前中はベトナム人の月1回のベトナム語で行われるミサ(礼拝)で、聖歌隊の伴奏を、オルガン、ギターと一緒にダン・バウでやりました。4曲も練習しなければならなかったので1月は結構大変でした。伴奏演奏と言うのは、メロディーがあんまりないので練習していても結構難しいです。

そして、午後。いよいよ本番。ベトナムの有名なイ・ヴァン作曲のLong Me(母の心)でした。これはこの新年パーティー開催が決まったときからのベトナム人たちからのリクエストでした。

実は、この曲、昨年の7月に行われたインドネシアの津波被災者のためのチャリティコンサートでもギターの伴奏つきで演奏したことがあったのですが、そのときは「調」を変えて演奏したので不慣れなために失敗して自信をなくしていたのです。それで、今回またリクエストされたときは、私が弾きなれている「調」で弾くことを条件にしてもらいました。

この曲を初めてベトナムで聴いたときのことですが、舞台の上でダン・バウを弾いていた女性が弾きながら泣いてしまったのには驚きました。それぐらいインパクトのある曲なんだなあ、と言う先入観のようなものがあって、なかなか弾きこなせないでいた曲です。

今回、幸いにとても慣れているギター伴奏者と組めることになって安心しました。二人で本格的なリハーサルをしたのは前日です。当日も何回か合わせて、「OK}と言うことになっていて私も大船に乗った感じでいました。

家でも、『練習聞こえた? 泣きたくなった?」と人に聞いてはその反応によって練習に励んでいました。

そうしたら、直前になって、ダン・バウの音色をじかに皆に聞かせたいから、伴奏なしで演奏して欲しいと言われたのです。

伴奏があると拍子もとりやすいし、伴奏してくれる彼も、合わせてあげるから安心して弾くように、と言ってくれていたので、突然の変更にとても戸惑いました。それともうひとつ私が伴奏なしで弾くことを躊躇したのは、この曲はベトナム人にとってあまりにもなじみの深い曲であることでした。聴きながら心の中で一緒に歌うかもしれない、そうしたら、私がもし自分なりに『自由に』弾いたら聴衆は戸惑うんじゃないかと思ったのです。そんな心配を話したら、「大丈夫。完全な独奏(伴奏なし)を聴く身になれば、聴いている音楽を自分の中に聴いてくれるから」と慰められ、再度、伴奏なしで、と励まされたのです。

エイヤーッ! 覚悟を決めて一人で舞台に立ちました。いいえ、座りました。

最初の音を出したとたんに場内が突然静かになったのだけ感じました。後は夢中でした。

終わって舞台から降りたら一人のベトナム人に、「あなたはまだお母さんがいますか?」と聞かれました。
ああ、『母の心』は伝わってくれたんだな、と思いました。

(M.S)


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