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平和をもたらす者は幸い
尊敬をこめた多くの呼称が彼に与えられました。“聖人は今旅立った”、“偉大なる信仰と勇気の人”、“けっして恐れない男”、“疲れを知らぬ働き人”など。人種も、国籍も、物理的距離をも越えて、幾千幾万の人々が涙で頬をぬらしました。 ヨハネ・パウロ2世は何よりもpeace maker=平和をもたらす人でありました。その人生はイエス・キリストが説かれた“山上の説教(真福八端)”(マタイ5:1〜10)の教えそのものでした。「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」。彼は「神の子」と呼ばれるに値します。なぜなら彼は生涯を通じて全世界に平和を呼びかけ続けた“平和の呼び声”そのものであったからです。ちょうど、イエスが平和そのもののお方であったように。イエスは、その存在すべてが人類への福音でした。彼は人類に平和をもたらすために――その平和とはひとりひとりの内奥に湧き上がるものなのですが――この世に来られました。「復活されたわが主以外、誰もこの平和を与えることは出来ない」。それはいのちを育み、より豊かにする平和です。 ヨハネ・パウロ2世は主のみ跡に従い、キリストを信じる者たちの間だけでなく、世の中のあらゆる集団、状況の中に平和を築き、促進しようとされました。教皇に選ばれ、その任務を遂行するために彼が最初に掲げた言葉は「恐れることはない」でした。 神は彼に内なる平和を与えたまい、その内なる平和が彼をして神のみ業と導きに全信頼を置くことを可能にさせました。彼は、主から託された羊の群れを牧する務めを、自身の内奥から湧き出す静かな落ち着きと穏やかな力強さを持ってスタートさせました。そのとき以来、彼はその平和を、憎悪に満ちた傷だらけのこの世界に導きいれようと努力し続けました。 虐げられている人々、飢えている人々、非道な残虐行為の被害者たちにヨハネ・パウロ2世はつねに心を寄せ、彼らの側に立って不正や悪と闘いました。彼らの声に耳を傾け、直接会って、神が彼らを愛しておられることを伝えることを厭いませんでした。頭の部分に十字架像がついている教皇の杖を手に彼はすべての大陸を旅し、小さな子供からお年寄りまであらゆる人々に会いました。労働者のニード、HIV感染者のニード、性差別問題などに敏感に関心を向け、母親の胎内に宿った小さく無力な命が消されることのないよう、いのちを守り育むことを呼びかけました。小さな命たちが持っている無事発達し、成長し、生まれ、養育される権利を保護するよう要求しました。なぜなら、ひとりひとりが神の似姿として造られたいのちだからです。彼のリーダーシップと「世の流れに反して歩むことを恐れるな」というメッセージに、世界中のさまざまな国々から若者が集まりました。そこには不和はなく、ただ個性に満ちた豊かな多様性がありました。若者の集まりでは毎回、全参加者の一致を経験することができました。 教皇ヨハネ・パウロ2世は訪れたすべての土地で、彼の存在そのものによって平和を輝かせました。慰めを与え調和をもたらす平和、心の奥深くから湧き出す平和。最も感動的だった“平和のしるし”は、かつて彼を襲って殺そうとした男を抱きしめたことでした。その男は、この温かな返礼に心動かされ、平和に満たされ、人間性を取り戻したのでした。 ヨハネ・パウロ2世は、過去の歴史において教会が犯した過ちを認め赦しを請うことによっても、現代社会との和解と平和をあらわそうとしました。唯物的な世界は人々に物の充足は与えられても本当の幸せと平和を与えることはできません。現代の人々は、信仰と内なる平和を見出すことを求めています。彼らの間に平和をもたらし、平和を築くだけでは十分とはいえません。すべての宗教の間にも平和が打ち立てられる必要があります。宗教は人々の心の深みにふれるものだからです。ヨハネ・パウロ2世は自らイニシャチブをとってすべての宗教の指導者たちを招き、共に集まって対話し共に祈ることによって、彼流に「山上の説教」の教えを実践しました。この先進的なアイディアと実践は、今では世界中で、信仰を異にする多くの人々が集ってキャンドルを灯し平和のために、また災害の被害者たちのために共に祈る際のモデルとなっています。 山上の説教はいつの世にもその価値を保ち続けます。ヨハネ・パウロ2世はこの世で彼のために備えられていた旅路を完遂しました。“平和をもたらすもの”は今、父なる神の家に帰って彼に愛される子となりました。神は天国で両手を大きく広げてわが子を喜び迎えたことでしょう。25年以上の長きにわたってこれほど素晴らしく、信仰を奮い立たせる教皇をいただいたことを神に感謝し、主のみ業を讃えます。ヨハネ・パウロ2世によって、復活なさった主の「あなたがたに平和があるように」という祝福を世に与え続けてくださった神を賛美し感謝いたします。 この祝福は私たちのうちに残り、父の家へと向かう私たちの歩みを確かなものとしてくれるに違いありません。 DT |
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